会話のきっかけレシピとは?

なやみ

●What(何それ?)

「会話のきっかけレシピ」は、「雑談」が苦手な人のために、いろんな会話をたくさん収集して共有しよう、というものです。
たとえば…
<「朝、仕事に行くときに職場の人に会い、『今日はあたたかいですね~』と話しかけられた」こんなときなんて返事する?>
こういった「声かけ」や「返事」のひとつひとつを「レシピ」と呼んでいます。

※当初は「雑談データベース」と名付けていました。でも、「雑談」というと趣味や時事ネタなど、そこそこ内容のある会話を指すことが多いです。それよりも手前の「あなたを無視していませんよ」「これからあなたに話しかけますよ」といった意味での「言葉そのものの意味はあまりないやりとり」を集めたかったので、「会話のきっかけ」レシピと名前を変えました。

レシピ集めおよびレシピの使い方についてのお約束は、以下のとおりです。

  • 雑談は料理と同じ。「これが正解!」というのはない。ただTPOはある
  • ハイレベルな気の利いた会話でなく、ごくごくありふれた会話を収集する
  • マニアックな話題や内輪ネタのような相手が限定される会話ではなく、なるべくどんな相手にもオールマイティに使える「うす~い」会話を収集する
  • 「会話のきっかけレシピ」は「レシピ」であって「コンペ」や「マニュアル」ではないので、集まった会話を評価したり、優劣をつけたり、分析したりしない。ただ料理のレシピのようにぜ~んぶ並べてお好きなものを使ってもらう
  • 収集した会話を便利に使うもよし、「こんなくだらない会話するの、時間の無駄」と思って使わないのもまたよし。ただ、「手持ちのカード」は多いほうが便利

●Who(作った人)

bako(枚岡治子)
・昔から人付き合いがどうにもうまくいかず、対人恐怖気味だった
・とくに、「顔見知り程度」がとてもキンチョーする
・非言語的な情報(表情、しぐさ、暗黙の了解、間や距離をはかる など)を読み取るのが苦手
・逆に言語情報を読み取るのは得意。ただし、必要以上に言葉の意味にとらわれる悪癖あり
・上記の理由により、図解したり、言葉で説明したりするのは得意だが、いわゆる「空気を読む」はまったくダメ

●When(いつ?)

「顔見知り」とほぼ話せなかった学生時代を経て、会社では人づきあいに大苦戦。
「たわいのない雑談」がまったくできず、人がしゃべっているのを聞いてメモをとることを思いついたのが2003年。
転職を経てある程度たまってきたところで、「会話のきっかけレシピ」という形にし、2005年にギャラリーで展示。
以後、展示・「会話のきっかけレシピ通信」の発行などをすることで、途切れがちながらほそぼそと「レシピ集め&発表」を続ける。

●Why(なんで?)

昔からよく言われる「話すのが苦手なら、聞き上手を目指してみては」「まずは笑顔から」といった抽象的なアドバイスは自分の場合、役に立たなかった。
もっと具体的なツールが欲しいと思ったので、こういうものを作った。
確かに笑顔は大事だが、そもそもこちらは緊張しているからガチガチでそんな余裕が持てない。
だから、笑顔より先に「会話のきっかけ」のネタをいくつか持っていれば、少しは気分的にリラックスできるのでは。
リラックスすることで笑顔のひとつも出るかもしれないと考えた。
「まずは自分がラクになろう」というのが最大の目的。自分がラクになれば相手を思いやる余裕も出てくるかと思う。
相手への細やかな心配りとか、上手なしゃべり方とかよりも、もっともっと低~~~いレベルをまずは目指している。
人づきあいがシンドイ人が、「とりあえず最低限これだけしゃべっておけば、そこそこ平穏に集団生活ができるかな」というレベル。
逆に、今まで会話に苦労したことない人も、「こんな当たり前のことに苦労している人がいるのか」と知ってもらえると嬉しい。

●Where(どこで?)

・職場で、実際にみんなが交わしている会話をメモ
・街中で、知らない人の会話をメモ。電車やバスなど乗り物が多い
・ある場面のイラストと設定を書き、知人友人と会ったときに「こういうときなんて言う?」と聞きまわる
・興味を持ってくれる人を集め、みんなで「こういうときなんて言う?」と出しっこをすることも

●How(どうやって?)

・自分ひとりでメモするときも、基本はイメージがわくようにイラストをつけて記録
・人に聞くときは、イメージがわきやすいようにイラストを提示して聞いている。たいてい「フォーマル・カジュアル」の2パターンを紙に書いてもらい、実際にロールプレイのように会話してみる
・ある程度たまったところで、自分がとくに苦手な7つの場面を指定
<会社に行くときに会った、オフィスにて、休憩時間、一緒に何かを待っている、会社に戻るときに会った、軽作業、飲み会>
・ギャラリーでの展示は、上記の7場面のイラストを清書し、お皿に貼りつけた。ランチョンマットやお箸などと一緒にレイアウトして「料理」っぽくした。
・また、いろんな「レシピ」のバリエーションもいっしょに展示

●で、どうなった?

いちばん最初、会社員のころは「自分が何が分からないかも分からない」状態だから、何も考えずひたすらメモしていた。
そこそこたまってきたものを眺めたり人に見せたりしていると、自分自身が苦手な場面や、関係などが見えてきた。
それでようやく、「何が分からなくて困っている」のかが整理できてきたので、「会話のきっかけレシピ」という1つのセットに整理して展示した。

「会話のきっかけレシピ」を作るようになって、「手持ちのネタ」が増えるとずいぶん気がラクになった。
コミュニケ―ション上手になったとはお世辞にも言えないが、昔のように人と会うのが怖くなくなった。

<レシピ集めで発見したことTOP3>

  1. 「寒いね」「暖かそうなマフラーですね」など、見たまんまでイイ
  2. 声をかけられた場合の返事も、「寒いね」には「ホント寒いですね~」など、オウム返しでイイ
  3. むしろ、変に喋ろうとしないほうがイイ場面もある

昔は「面白いことを言わなきゃ」「とにかく何か喋らなきゃ」と焦ってばかりだったので、この3つを発見したことはとても大きかった。